マウスの背中で人間の耳を培養!研究者「5年以内に実用化できる」

東京大学と京都大学の研究チームが、ヒトの耳の軟骨「耳介軟骨」をネズミの体内で作り出すことに成功した。今回成功した技術はiPS細胞を使用しており、iPS細胞から立体的な軟骨を作製したのは初めてのことであるという。

また、この技術を用いれば耳介形成手術のプロセスが大幅に短縮され、患者への負担が軽くなると予想されており、「事故や先天性の理由で耳が小さいまたは欠損している人々の様々な治療に応用できる」と医学界のみならず世界中で注目を集めているということだ。

快挙!東大・京大の新技術とは

英「Mail Online」紙が報じるところによると今回発表された新しい技術は「新たな希望の光」として多方面から話題になっているという。東京大学・高戸教授と京都大学・妻木教授の研究チームは、2011年に発見された耳軟骨内にある幹細胞をもとに人工の「耳介軟骨」を作ることに成功、マウスの体内で5cmほどの大きさにまで成長させたのだ。

現代医学における耳の移植技術は、移植までに数多くのプロセスが必要であり、細部まで再現するには時間と技術を要するという。まず耳を作るため、肋骨から形成に優れている軟骨を取り出し、耳の形に形成する。その後数回に分けて手術が行われるのだが、心身ともに患者の負担が大きい移植手術ということだ。

しかし、東大・京大の研究チームが成功した「耳介軟骨」の成型は肋骨の手術を要せず、わずかなヒト幹細胞を要するだけである。今回研究チームが行ったマウス実験ではiPS細胞開発に伴う細胞リプログラミング技術を用いて軟骨細胞を誘導し、3本の特殊なプラスチック・チューブに注入。人間の耳の形になるように形成すると、それをマウスの皮下に移植したという。その後移植された特殊なチューブはマウス体内でゆっくりと溶けていき、注入されていた軟骨細胞同士が融合していく。すると2ヶ月ほどでほぼ実物大の「耳介軟骨」が出来上がったそうだ。今回結果を受け、東京大学の高戸教授は「これからも研究を進め、5年後には実用化できるようにしたい」と語っており、研究チームは「小耳症」を抱える人々のためこれからも臨床試験を行っていくということだ。

人間の腕から鼻が作られる?

5年後の実用化を目指している東大・京大だが、この技術は「今後の医療を変える」と世界中でも研究されている。英・ロンドン大学でも幹細胞を使用した研究が数多く行われており、少し前だが患者自身の腕で「鼻」を作ることにも成功している。担当のアレックス・セイファリアン教授によると「新しく作られた鼻は匂いも分かるようになる」ということだ。

世界中で取り組まれている人工移植技術だが腕から鼻というのは、なかなか衝撃的である。しかし東大・京大の技術は“障害を抱えて生まれてきた子供のみならず、動物に切り裂かれるなどして見た目に大きな傷を負った人々を助けることができるようになる”と、世界中で早期実用化を求める声があるということだ。現代医学の発展のため多くの動物実験が行われているが、その命が難病と戦う方たちの希望の光となることを祈るばかりである。

文:遠野そら

参考:http://www.dailymail.co.uk/news/article-3414756/Scientists-grown-human-EAR-rat-say-able-use-humans-five-years.html

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2266689/Cancer-victim-growing-new-nose-arm-Businessman-lost-organ-disease-hopes-new-sewn-face.html

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